歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景

歌川広重
うたがわひろしげ

(雪月花) 武陽金沢八勝夜景
(せつげつか) ぶようかなざわはっしょうやけい

安政四年(1857)、大判錦絵三枚続、[新庄コレクション]

Utagawa Hiroshige
Night view of eight sights of Kanazawa, Musashi province
[Shinjō Jirō collection]

広重の最晩年を代表する大判三枚続の大作《木曾路之山川》、《武陽金沢八勝夜景》、《阿波鳴門之風景》は、版元と制作年が同じで、外題の枠も共通することから、木曾の“雪”、金沢の“月”、そして鳴門の渦潮を“花”に見立てた“雪月花”を意図した三部作と考えられています。
《武陽金沢八勝夜景》に描かれた金沢は、海岸に面した景勝地として知られ、江の島詣などの途上にあったことから江戸庶民に親しまれました。高い視点から捉えた静穏な金沢の夜景で、山や木々、家や船など全てが夜の闇に沈み、その固有色を喪っています。幕末における夜景表現の深化を、ここに見ることできます。

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関連画像
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