歌川広重
うたがわひろしげ
東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪
とうかいどうごじゅうさんつぎのうち かんばら よるのゆき
天保五~七年(1834~36)頃、大判錦絵、[新庄コレクション]
Utagawa Hiroshige
The series Fifty-three stations of the Tōkaidō highway (Tōkaidō gojū-san tsugi no uchi) : Kambara, Evening snow
[Shinjō Jirō collection]
家も山も全てが雪に覆われています。夜の静寂が画面を支配し、道行く人が雪を踏むかすかな音だけが聞こえてくるようです。華美な色彩を排した白と黒のコントラストが、凍てつき、乾いた冬の空気感を見事に表し、人物の背中をまるめた姿や、菅笠や傘で表情を見せない工夫により、冬の厳しさがしみじみと伝わってきます。数ある浮世絵の雪景表現の中で、最も著名な作品といえるでしょう。