歌川豊春 浮絵阿蘭陀国東南湊図

歌川豊春
うたがわとよはる

浮絵阿蘭陀国東南湊図
うきえおらんだこくとうなんみなとず

安永~天明期(1772~89)頃、大判錦絵、[新庄コレクション]

Utagawa Toyoharu
Perspective picture of the southeast port in Netherland
[Shinjō Jirō collection]

作品名にある「浮絵」とは、西洋の透視遠近法を真似て、空間の奥行きを強調した絵のことで、近景が手前に浮き出て見えることからこの名で呼ばれました。二次元の画面上に遠近感を生む錯視的効果は、それまでの日本の絵画伝統にはない新しい視覚として面白がられました。本作品は、西洋の眼鏡絵(銅版画)を基に制作されたと考えられ、線を細かく重ねる陰影表現はいかにも銅版画風です。異国の建物や人物の表現も、目新しいものを好んだ江戸庶民の好奇心をくすぐったことでしょう。歌川豊春は浮絵を発展させた絵師で、若き日の北斎も影響を受け、多くの浮絵を手がけています(関連画像)

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