葛飾北斎 鵙 小薊

葛飾北斎
かつしかほくさい

鵙 小薊
いすか おにあざみ

天保五年(1834)頃、中判錦絵、[島根県購入分]

Katsushika Hokusai
Thistle and crossbill
[Purchased by Shimane prefecture]

天保五年(1834)頃に出版された中判花鳥画の揃物(全10図)は、緻密な描写と鮮麗な色彩が特徴です。「鵙 小薊」(*)でも、薊の葉は表裏で色調が変えられ、花は輪郭線のない無線摺とするなど、細部への強いこだわりが感じられます。北斎花鳥画の作例は、同時期の広重花鳥画に比べると少なく、それは静穏で詩的情緒をたたえた広重花鳥画がより世評を得たのか、もしくは彫りや摺りにこだわった北斎花鳥画では採算が取れなかったのかもしれません。
(*)「鵙」は“もず”と読みますが画中では“いすか”(「鶍」)と仮名が振られています。

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